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チタンとは

チタンとは

チタンは、「軽い」「強い」「錆びない」の3大特性のほか「人体にやさしい」「磁性がない」等の特徴があり、航空機や石油化学設備や公害関連機器から造水・海洋エネルギー関連・建築モニュメント・自動車・車両部品・スポーツ健康器具・医療機器人工骨やピアスまで、幅広く使えない分野はないとも思われるほど広がっています。
人体にやさしいとは、金属アレルギーをきわめて起こしにくいということです。金属アレルギーは金属と体の水分が反応して発生する金属イオンが原因となりますが、チタンは金属イオンの発生が極端に少ないため金属アレルギーを起こしにくい材料となっております。
チタンの 物性・機械的性質は以下の通りです。

チタンの性質及び材料規格

1.チタン材の物理的性質

チタンを他の金属材料と比較して、以下の特徴があります。
(1) 高溶融点である。
(2) 比重は4.54で軽い。ステンレスの約56%である。
(3) 熱膨張係数はステンレスの約50%である。
(4) 熱伝導率が小さい。ステンレスとほぼ同じ。
(5) ヤング率が小さい。
(6) 透磁率は1.0001で、非磁性体である。
材質
比重
融点
電気伝導率
熱伝導率
線膨張係数
ヤング率

%対Cu比
Cal/cm2/sec・℃
x10-6/℃
Npa
純チタン
4.54
1668
3.1
0.041
8.6
106.33
Ti-6Al-4V
4.43
1650
1
0.017
8.8
249.75
ハステロイC
8.94
1305
1.3
0.03
11.3
204.43
ニッケル
8.9
1453
25
0.22
15
204
SUS316
8.03
1400
2.4
0.039
16.5
198.94
7.85
1530
17
0.15
12
205.8
アルミニウム
2.7
660
64
0.49
23
69.1

2.チタン材のJIS規格

材料種別
板材・条丸棒継目無管熱交換機用管溶接管鍛造品線材
JIS規格番号
H4600H4650H4630H4631H4635H4657H4670
記号
TP・TRTBTTPTTHTTPTFTW

種類材料記号化学成分(%)
Al
VFe
以下
O
以下
C
以下
N
以下
H
以下
Pdその他Ti
個々合計
純チタン
1種
TB2700.200.150.080.030.013残部
純チタン
2種
TB3400.250.200.080.030.013残部
純チタン
3種
TB4800.300.300.080.050.013残部
Ti-Pd
12種
TB340Pd0.250.200.080.030.0130.12~
0.25
残部
Ti-6Al-4V
60種
TAB64005.50~
6.75
3.50~
4.50
0.400.200.080.050.0150.1
以下
0.4
以下
残部

3.機械的性質

チタンの機械的性質をSUS316と比較して、以下の特徴があります。
(1) 比強度は、チタンはSUS316に匹敵し、チタン合金はSUS316より強度があります。
(2) 疲労度は、SUS316に対して優れています。
種類引張強度
N/mm2
耐力
N/mm2
伸び
%以上
絞り
%以上
引張強度/密度耐力/引張強度
TB270270~41016540757.80.66
TB340340~51021532609.80.73
Ti-6Al-4V895以上825163021.80.92
SUS31658826565707.60.45

4.チタンの耐食性

チタンの耐食性については、以下の特徴があります。
(1) 無機酸
 硝酸・クローム酸等の酸化性薬品には、従来の耐食材料では耐え得ない耐食性があります。
 高温度・高濃度の場合でもきわめて優れた耐食性があります。
 又、Fe/Cuのような金属イオンが溶液中にある場合でも、腐食されません。
腐食媒
組成(%)
温度(℃)
耐食性
チタン
SUS304
ハステロイC
塩 酸
10
24
B
D
A
30
24
D
D
A
10
80
D
B
30
80
D
C
硫 酸
10
24
C
A
50
24
D
D
A
10
100
D
A
50
100
D
A
硝 酸
10
24
A
A
A
50
24
A
A
10
100
A
A
C
50
100
A
B
王 水
HCl:HNO3
​3:1
24
A
D
C
100
B
クロム酸
5
24
A
A
弗化水素
5
30
D
D
C
燐 酸
10(通気)
24
B
A
A
50(通気)
24
C
A
A
10(通気)
100
D
A
A
50(通気)
100
D
B
A
(2) アルカリ
 苛性ソーダ等のアルカリ溶液には、高温・高濃度においても、優れた耐性を示します。
 ステンレスに見られるような孔食腐食の心配もありません。
腐食媒
組成(%)
温度(℃)
耐食性
チタン
SUS304
ハステロイC
アンモニア
10
24
A
A
A
30
24
A
A
A
10
80
A
B
B
30
80
A
B
A
苛性ソーダ
10
24
A
A
A
50
24
A
A
10
100
A
A
A
50
100
B
B
A
炭酸ソーダ
10
24
A
A
A
30
24
10
100
A
A
A
30
100
A
A
A
(3) 塩化物
 チタンに匹敵する材料が無いくらい、格段に優れています。
 特に海水に対しては、白金・金・銀に次いで耐食性を有する最良の材料です。
腐食媒
組成(%)
温度(℃)
耐食性
チタン
SUS304
ハステロイC
塩化第二鉄
10
24
A
D
A
30
24
A
D
A
10
100
A
D
30
100
A
D
塩化第二銅
10
24
B
D
B
30
24
B
D
B
10
100
B
30
100
B
塩化ナトリウム
10
24
A
B
B
40
24
A
B
B
10
100
A※
B※
B
40
100
A※
B※
B
塩化カルシウム
10
24
A
A
A
50
24
A
B
A
10
100
A※
A
50
100
A※
D
A
塩化アンモニウム
10
24
A
C
A
4024
A
A
10
100
A※
A
40
100
A※
A
塩化マグネシウム
10
24
A
C
A
40
24
A
B
A
10
100
A※
C※
A
40
100
A※
A
海 水
高流速
24
A
低流速
100
A※
A
硫酸第一鉄
10
24
A
B
B
50
24
A
B
B
10
100
A
B
B
50
100
A
B
(4) 各種ガス 
 湿った塩素ガス・亜硫酸ガス・硫化水素ガス等には、優れた耐食性を示します。
 乾いた塩素ガスには激しく反応し、四塩化チタンを生じますので水分を添加する必要があります。
腐食媒
組成(%)
温度(℃)
耐食性
チタン
SUS304
ハステロイC
硫化水素
乾燥ガス
24
A
C
A
湿潤ガス
24
A
B
B
塩 素
乾燥ガス
24
D
A
湿潤ガス
24
A
C
乾燥ガス
100
A
B
湿潤ガス
90
A
C
亜硫酸ガス
乾燥ガス
30~60
A
湿潤ガス
30~90
A
(5) 有機酸
 酢酸・テレフタール酸その他殆どの有機酸には、優れた耐食性があります。
腐食媒
組成(%)
温度(℃)
耐食性
チタン
SUS304
ハステロイC
酢 酸
10
24
A
A
A
60
24
A
A
A
10
100
A
A
A
60
100
A
B
A
蟻 酸
10
24
B
B
A
50
24
B
B
A
10
100
B
D
A
50
100
D
D
A
乳 酸
10
24
A
B
B
40
24
A
B
A
10
100
A
B
B
40
100
A
D
B
蓚 酸
10
24
B
B
B
50
24
B
B
20
52
D
B
10
100
B
50
100
D
B
クエン酸
10
24
A
B
A
50
24
A
B
A
10
100
A
B
A
50
100
A
注)※は孔食、その他局部腐食を起こす場合があります。
凡例 A:<0.127 B:0.127~0.508 C:0.508~1.27 D:>1.27mm/year  ー:データ無し
【注意】上記はあくまで参考値であり、個々の値を保証するものではありません。
    環境中の不純物等でも変化しますので、同環境で実際に腐食試験を行うことをおすすめします。


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